小児疾患集
幼児期後期(5歳、6歳)
いわゆる年中さん、年長さんです。
幼稚園や保育園での生活リズムにもなれてきて、個性・特技がでてきます。
好き嫌いや時間的思考もできるようになり、いわゆる「Kヨンしんちゃん」のような感じです。
かわいいですが、調子にのりすぎ、人に流されやすいところもあります。ふざけることと、ふざけないことの節度は守ることも大切です。一緒に過ごす家族の行動様式にも影響を受けてきます。「人(子)の振り見て我が(親)振り直せ」ですね。また、危険行動や交通ルールなどはしっかりと教育しておきましょう。
① 溶連菌感染
この年齢の頭痛をともなう咽頭痛や下腹部鼠径部の発疹は溶連菌感染症の可能性があります。感染経路は飛沫や接触感染であるため、家族内や園内の同じクラス内で伝播していきます。診断は咽頭所見や特異的な皮膚所見で可能ですが、確定診断には迅速抗原検査や採血による生体反応をみることも可能です。
抗菌薬の経口投与を決められた容量、用法をきちんと指示された期間行う必要があります。うまく内服できない場合は個人個人にあった方法を考えていきます。きちんと治療をしないと、腎炎、心炎、血管炎などを引き起こすことがあり注意が必要です。
② 発熱
5-6歳では扁桃・アデノイドが活発となる時期です。免疫もしっかり力強く成長してきますが、暴走することもあります。反復する周期的な発熱の場合は、頸部リンパ節腫脹、口内炎の有無などないか確認をしてみましょう。周期性発熱症候群(PFAPA)はこの年齢で管理が必要なお子さんが多いです。
③ 咳嗽
溶連菌とおなじくマイコプラズマ、百日咳にも感受性の高い時期です。長引く発熱、咳嗽がある場合はある程度原因を推測したうえで特異的治療が必要です。また、気管支喘息初発を認めるお子さんもいる年齢です。小児喘息の家族歴がある場合や、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の既往がある場合は呼吸様式がきつそうでないか、胸に耳をあててゼイゼイ、ヒューヒュー音がきこえないか確認してみてください。
④ 気道感染の特徴
鼻閉、扁桃腺、アデノイドによる口呼吸は感染症に罹患しやすくなるためコントロールやその対策が必要です。鼻・口から気管、気管支までの発達は個人差があります。そして、アレルギーを含め気道の予備力にも個人差があります。住宅環境や園での環境、同居しているペットにも影響をうけます。発達と個体特性、生活環境に思いあたる原因がないか、予防できることがないか確認してみましょう。
⑤ 鼻炎 アレルギーと舌下免疫療法
反復する鼻閉、鼻漏、中耳炎がある場合は、アレルギー検査を行い、原因となるアレルゲンを確認してもらうことも大切です。環境整備や生活習慣の改善、一次予防、二次予防を行う動機付けになるだけでなく、必要な投薬、5歳以降では舌下免疫療法など根本的治療が選択できるようになります。
⑥ 発達行動、学習、就学にむけて
いわゆる小学校1年生から学校生活がはじまります。登下校ができることや授業を受けることがすべてではありませんが、就学にむけて準備する大切な年齢です。学校生活では『行事』も大切な位置づけにあります。集団で何かに取り組むこと、協力して準備をすることそのすべての過程が『行事』で『思い出』や『経験』と『成長』につながっていきます。年中さんや年長さんのときに、家族旅行を準備計画からみんなでやってみたり、園での発表会の準備や練習をおうちでもやってみたりすることもおすすめしています。
また、社会的コミュニケーション能力(発表やスピーチ)や周囲との協調性(ダンスや演劇)、読み書きを含め学習に対し、楽しく取り組んでみてはいかがでしょうか?その中で本人の得意分野をのばし、不得意分野は一緒にとり組んでいき、できることを増やしていくことを意識してみましょう。また、療育センターや発達教育センターなどと協力して、就学後の生活(登下校、学校、放課後)がスムーズにいくようサポート体制を計画しておくことも大切です。
⑦ 夜尿(おもらし)
5歳以降の小児で最低月1回の夜尿が少なくとも3か月以上続く場合を夜尿症といいます。決して本人のわがままや、保護者の「しつけ」のせいではありません。本人もご家族も罪悪感はもつ必要は全くありません。肩の力をぬいて、相談してみましょう。基礎に病気がかくれていないか、検尿と超音波検査、必要あれば採血などを行います。
7歳の1割程度に夜尿症のお子さんはいます。年に15%づつ自然軽快していき、最終的には大丈夫になることが多いです。生活指導と本人の動機づけ、精神的・心理的なサポートを行っています。宿泊イベントのときなど、どのように工夫したら、薬物を併用した方がいいのかお話するようにしています。
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