小児疾患集
乳児期:乳児期早期 前半
生後1~2か月をさし、睡眠覚醒のリズムがでてきて、
追視もするようになってきます。
はじめてのワクチン接種のまだ前なので、細菌感染症には抵抗性が低い時期です。
いかに安全に体重を増やしていくか、楽しく観察できるかが大切です。育児疲れもでてくるため、養育者で役割分担を行っていくことをおすすめしています。
① 発熱
発熱の具合(38.5度未満、以上)、機嫌、皮膚の色、呼吸様式、手足の冷たさ、哺乳状態などを観察して夜間や時間外でも電話相談は必要な年齢です。また家族や接触歴のある親戚の感染症情報は大切です。市中(居住している環境)に流行感染症があるかも大切な情報です。いわゆる気道感染であるインフルエンザやヘルパンギーナは高体温(39度以上)となり、哺乳不良や末梢循環不良、意識変容(ぐったりとし活気低下、傾眠、うなるなど)を認めることもあり入院が必要になることがあります。
そして、RSウイルスや百日咳では病初期から呼吸状態が不安定となることがあります。尿路感染症である腎盂腎炎になっている場合も発熱や不機嫌を認める、早めの時期に治療介入が必要です。稀に免疫異常による重症感染症や川崎病のお子さんもいます。迷った場合や何か気になる場合は速やかな医療機関への相談、必要あれば受診、必ず評価が必要な時期です。
② 嘔吐
嘔吐の頻度、吐物の性状と量、嘔吐のタイミング、副症状である咳や発熱、下痢の状況を確認してみましょう。
感染性胃腸炎や風邪、便秘にともなうものから、喘息や喉頭気管軟化症といった気道症状により誘発するもの、消化管狭窄病変や心機能低下といった外科的治療介入を必要とする病気もあります。体重増加が得られない場合や顔色が悪い場合などは速やかな医療機関への受診が必要です。
③ 便秘
母乳成分の変化やミルク補足回数の減少にともない、便秘になる赤ちゃんがいます。
一旦便秘になると綿棒刺激や腹部マッサージ、体位変換でも効果が乏しく一度医療機関で浣腸をし、腸管から便栓を取り除き、開通させることが大切です。また、腹部傍流具合や生後からの経過によっては便秘の基礎となる内分泌や消化管疾患が隠れていることもあります。少なくとも正期産のお子さんで、3-4日便がでないときや、嘔吐、腹部膨満、喘鳴など副症状がある場合は受診を一度してみましょう。
④ 湿疹
沐浴が難しくなる体格、体動となり代謝もさかんで汗っかきです。しっかり泡で、しわの間まであらうこと、保湿することが大切です。乳児湿疹、脂漏性湿疹、あせもが多いですが、この頃よりアトピー体質のあるお子さんではアトピー性湿疹の診断が可能です。早期介入、徹底したスキンケアを行い、食物へ感作、アレルギー発症を予防することが大切です。
⑤ 鼻水、鼻閉、咳
周囲に感冒症状が2週間以内にあるかまずは確認してみましょう。お母さんからの抗体で感染予防効果はありますが、たかが風邪、されど風邪です。鼻呼吸のため、哺乳ができなくなることがあります。気道の開通、吸入・吸引、腹部膨満のコントロールが必要です。原因となる感染症の種類によっては入院が必要となることがあります。非感染性の鼻閉や咳、喘鳴もあります。どのような状態なのか、小児科へ相談しましょう。
⑥ 力が弱い
今までと違い啼泣力や四肢の動かす力が弱くなった場合は、重篤な感染症や心臓・神経・筋・内分泌・代謝の病気がかくれていることがあり医療機関への速やかな受診が必要です。
⑦ 不機嫌
活気も低下した不機嫌なのか、明らかに周期的に啼泣する不機嫌なのか、持続する痛みや苦痛があるための啼泣なのか、小児科を専門としていても原因をすぐに見つけることは難しいものです。ただの環境温や湿度、夕泣きや夜泣き、空腹、かんしゃくのこともあれば、感冒初期やワクチン接種後、中耳炎や関節炎など診察や治療が必要なものもあります。
また、腸重積など緊急性の高いもの疾患も隠れています。不機嫌以外に体温・皮膚の色、呼吸様式、不機嫌でないときの状態を比較観察することが大切です。時間外・休日夜間で判断がつかないときはまずは電話相談をしてみましょう。納得のいく原因をみつけ、親子ともに健康な明日を迎えましょう。
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