小児疾患集
後期新生児期
はじめてのおうちでの生活がはじまってきます。日齢7~日齢28までをさします。
泣き声以外の声がかわいらしいです。
呼吸、哺乳、消化、排便、ゲップ、ふとることがお仕事です。
① 発熱
この時期の発熱は出生前・分娩時の原因と出生後の原因に分かれてきます。外部環境にも徐々になれてきますが、まだ体温調節機能は未熟です。『真の発熱』の場合は早期新生児期と同じく速やかに医療機関での評価・治療介入が必要です。なんとなく元気がない、力が弱い、呼吸や哺乳状況がいつもと違うかどうか観察してみてください。
② 湿疹
母乳成分が初乳から後乳へ成分が変化したり、外部環境、摂取物の蓄積の影響がでてくる頃です。男児の方がホルモンの関係で湿疹が出やすい傾向があります。
皮脂の分泌、沐浴・スキンケアの仕方の影響もでてきます。体重も増えて動きも活発になります。いわゆるアレルギー性の湿疹より乳児湿疹、脂漏性湿疹が多くみられます。湿疹の分布や性状によりますが、母の食事内容、家族の体質などを考慮したスキンケアが必要です。
③ 嘔吐、哺乳不良
ひとそれぞれ、口・舌・顎のバランスが異なります。鼻呼吸や鼻閉の状態、胃の容量や胃と食道の逆流のしやすさ、便秘や排気不足による腹部膨満など、嚥下・消化管機能の成熟度や個体差は千差万別です。さらに、乳首のかたちや母乳分泌量も大きく影響してきます。
体重はどうなのか、活気や力強さはどうなのか、少し溢乳(いつにゅう)する程度なのか、哺乳した分全部嘔吐するのか、吐物の性状は緑色ではないかなどの確認が必要です。産院を退院すると環境がかわり、赤ちゃんも敏感です。まずは出産した産院やかかりつけを考えている小児科に相談してみましょう。
④ でべそ、臍ヘルニア
予定日より早めに生まれたお子さん(早産児)や、家族の中に同じようなおへその方がいる体質性のお子さんが多いです。おへそのふくらみは直径100円玉~500円玉、ピンポン玉、テニスボールまで様々です。便秘や溢乳の原因となることもあり、生後2か月以内までには治療開始をする方が効果的です。
鼡径ヘルニアや胃食道逆流、臍腸管瘻など隠れていることもあり1か月健診よりおへそがでてきたり、ジュクジュクしてくるようであれば早めに相談しましょう。綿球や圧迫セットキットで現在はスキンケアをしながらご両親主体で治療を行います。
⑤ おむつかぶれ、下痢
もともと母乳栄養がメインのお子さんは軟便・頻便の傾向がありスキントラブルには注意が必要です。消化管アレルギーや胃腸炎でも下痢が持続し体重が増えていないことがあります。おしりふきばかり使用していると皮膚表面をこすりとり、便の化学成分によってバリアー機能が低下して悪循環となります。また漠然と軟膏だけで治療していると、カビがついてしまうこともあります。
いつもよりまずは1回おしりを洗う回数を増やし、やさしくおしてふくことが大切です。外用薬の塗り方、量、回数、作法タイミングも重要で刺激を減らししっかり便から保護することが大切です。皮膚循環や腸内細菌叢といったいわゆる皮膚と腸粘膜の状態も意識して管理をしていきましょう。
⑥ 黄疸
生後8日目以降の黄疸はよほど、児に未熟性があったり、ストレスがかかる病気がなければ、生理的で母乳性黄疸のこと多いため哺乳内容や生活制限の必要はありません。ただし、便の色がレモンから白っぽい色をしていたり、2週間健診以降も黄疸が治療レベルぎりぎりの遷延性黄疸の場合は原因となる病気が隠れていることがあります。甲状腺ホルモンや血液成分の状態、胆のう・肝臓・頭蓋内・心臓の状態や出血病変の有無などチェックする必要があるか産科や小児科に相談してみましょう。
⑦ 鼻漏、鼻閉、咳
周囲に感冒症状が2週間以内にあるかまずは確認してみましょう。お母さんからの抗体で感染予防効果はありますが、たかが風邪、されど風邪です。鼻呼吸のため、哺乳ができなくなることがあります。気道の開通、吸入・吸引、腹部膨満のコントロールが必要です。原因となる感染症の種類によっては入院が必要となることがあります。非感染性の鼻閉や咳、喘鳴もあります。どのような状態なのか、小児科へ相談しましょう。
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