小児疾患集
幼児期前期(1歳、2歳)
言語性コミュニケーションがとれるようになり、
『自分・自己主張』がかわいい時期です。
健康に生きる権利である、1歳すぎのワクチン接種を計画することが大切です。
独歩できたときの感動はとても大きいですね(😿)。よく観察し、よく触り、成長の記録を忙しい中でも記録におさめておきましょう。疾病の早期発見は『いつもと何か違う』ことです。
① はじめての発熱
不機嫌、嘔吐、経口摂取低下、体熱感から発見されることが多いです。鼻漏が先行していることが多く、市中では昔ながらにいわれている突発性発疹症の原因ウイルスであるヒトヘルペスウイルス6,7が比較的短い周期で流行があります。予防接種をしっかりしているお子さんは高体温でも解熱剤を使用すれば、比較的機嫌も保たれ、経口摂取が維持できれば一晩はおうちでケアすることができます。
突発性発疹症のキーワードは高体温4日、熱性けいれん、軟便、解熱後の発疹期の不機嫌、免疫抑制です。意外と続発症を含め、慎重な経過観察を要する感染症です(我が子も入院しました😿)。はじめての発熱にそなえて、過剰な心配はいりませんが、発熱したときの対応を予防接種や健診のときに確認しておきましょう。
② 長引く熱
発熱翌日、3日以上、5日以上、7日以上が受診の目安です。発熱以外にどの症状が一番悪化しているのか、どの症状がいつから出現してきたか把握しておきましょう。たべる・のむ・ねる・その子らしい力があるかどうかも緊急性の目安です。炎症が強いと呼吸も早くなります。発疹や頸部リンパ節が腫れると川崎病の可能性もあります。
初回受診した際に、次回医療機関への受診のタイミング、予測される経過を確認しておきましょう。ヘルパンギーナ・手足口病は平均1日から2日、インフルエンザはしっかり治療していれば2.5日、アデノウイルスや突発性発疹は平均4日程度と知っておくと安心です。それより長引く場合は続発症の可能性があり必ず受診が必要です。また、ヘルパンギーナ、手足口病、ヘルペス歯肉口内炎は咽頭痛が強く、疼痛コントロールが大切です。
③ けいれん
発熱にともなう熱性けいれんの好発時期です。その他、胃腸炎関連けいれんがあること、泣き入りひきつけがあることも知っておきましょう。本人の体質、原因となる感染症のウイルス特性の影響が大きいです。例えば熱性けいれん家族歴がある、突発性発疹のウイルス、インフルエンザのウイルス、手足口病・ヘルパンギーナのウイルス、嘔吐下痢のウイルスはけいれんを誘発させやすいことを知っておきましょう。
けいれんが起きたらどういたらいいのか、確認しておくことは大切ですが、初めての場合は心配でどうしたらいいのか誰でもパニックになります。誤嚥と転落に注意して、大丈夫と大丈夫と自分に暗示をかけながら、落ち着いて救急車を呼ぶ勇気も大切です。けいれんが5分以上持続する場合や頻回にある場合、ずっと意識がおかしい場合は、緊急性が高いです。
④ 発疹
気道や消化管感染症にともなう皮膚症状、局所皮膚感染の皮膚症状、アレルギー発症にともなう皮膚症状、皮膚に何か接触したために起こる皮膚症状が多いです。その他、川崎病などがこの時期には注意が必要です。
食事摂取の内容や、公園で遊んだなどの行動歴を整理してみましょう。一過性のこともあるため、写メをとっておきましょう。
アナフィラキシーや重症薬疹など緊急性の高いものから、みずぼうそうなど感染性の強い発疹もあるので、医療機関にまずは問合せ、受診の方法をきいてみましょう。(救急車なのか、自家用車で隔離が必要なのか)
⑤ 嘔吐・下痢
胃腸炎といった消化管機能障害にともなう嘔吐と下痢が多いです。
周囲での流行状況と1週間以内の外食や食事歴を確認してみましょう。同じものを食べていても、菌の量は違い、8歳未満ではまだ腸管免疫も未熟です。発熱、四肢の発疹がないかも確認が必要です。嘔吐後はしばらく腸管を安静に保つことも大切です。
嘔吐にはたくさん原因があることも知っておきましょう。気道症状にともなう咽頭反射による嘔吐、高体温にともなう消化不全による嘔吐、心不全による嘔吐、虫垂炎による嘔吐などさまざまです。下痢も感染性と非感染性の原因にわかれます。2日以上の嘔吐や1週間以上持続する下痢の場合は速やかに受診しましょう。
⑥ 長引く鼻水・咳
ワクチン接種歴やアレルギー素因、皮膚の状態、寝床の状況などが影響することが多いです。また、自分で鼻水をかんだり、痰をだすことができない年齢です。気道・肺の成熟は個体差があり、生活環境や帰宅後の生活スタイルなど工夫が必要です。非感冒時からの投薬やケア、感冒時の早期ケアなどその子にあった介入方法を養育者も認識している必要があります。微熱の持続や夜間覚醒、さらに食欲低下になっている場合は、診察、レントゲン、RSウイルスなど各種抗原・マイコプラズマや百日咳など抗体検査で原因微生物がないかどうか、確認が必要です。
⑦ かんしゃく・夜泣き
場所やひとに敏感なお子さんもいます。しかし、今までなかったのに、乳児期後期からでてきた場合、環境変化や生活スタイルの変化だけではなく、鉄欠乏など栄養状態の評価が必要です。特にアレルギーの体質のあるお子さんで過剰に食物制限をしている場合は微量元素やビタミンの評価も必要です。口にはいる食物に敏感なお子さんもいます。咽頭反射が強くもどしやすいお子さんもいます。色んなひとの子育て体験もききながら我が子を観察してみましょう。祖父母、おじさん、おばさんの意見にも少し耳をかたむけてみましょう。
⑧ 便秘
離乳食の完了は個人差があり、離乳にともない経口水分摂取量は変化します。この時期は硬めの便栓が一度できると、なかなか腹圧が上手にかけれず、排便困難(便秘)となります。また、残便や硬便による切れ痔は排便恐怖となり、うまく腹圧をかけれなくなり悪循環となるお子さんもいます。まずは、浣腸をして便栓をとり、残便や硬便を除去すること、その後便の性質から緩下剤(便を柔らかくする)か、腸蠕動刺激剤などを選択していきます。腹部マッサージの方法も2種類あり、腸の残便具合を画像で一度確認するとどんな体位が効果的なのかも確認することができます。
⑨ 運動発達・言語発達の遅れ
くびの座りやお座りをした時期、はいはいをひざでしていたか、独歩の確立と安定性を含め運動発達が順調にすすんでいるかを確認してみましょう。また周囲への関心や共感行動があるかなども確認してみましょう。1歳半から2歳で、行動が気になると養育者から訴えがあるお子さんには診断前支援としてM-CHAT質問紙を用いてお話しすることもあります。
発達が遅れてはいるものの、家族歴で父か母や親せきの幼少時期の発達がゆっくりであったり、何か発達に影響をおよぼす内臓疾患があったりしないかも確認が必要です。1歳半までに独歩ができるようになること、1歳半で5個意味のある単語がいえることがひとつの目安になります。
個別に理学療法が効果的なこともあり、福岡県では各市区町村で評価・介入計画を担当している療育センターがあります。その他個別に理学療法、行動療法、言語療法を行ってくれている施設もありますが、どこを選択すべきか迷う場合はご相談ください。
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