小児疾患集

一般小児科診療をご希望の方 学童期 11歳~12歳

身長の増加を特徴とする成長スパートが先行し、
大人の体へ変化していく二次性徴を認める時期です。

学習やスポーツにかける時間や負荷も増大し、感受性が高く周囲の影響も受けやすいころです。
それぞれの目標に向かって、時には休んで、元気いっぱい突き進んでほしいと思います。(●’◡’●)

① 発熱

小学校中学年とおなじく、感染予防対策を行うことができるようになりますが、密集、接触は運動や授業、塾ではさけられません。周囲(家族内と学校内)の敵(流行している感染症)を知っておく必要があります。日々忙しいため、感染症対策も粗雑となることがあり、家族で対策を見直してみましょう。

咽頭違和感、頭痛、発疹、リンパ節の腫れ、骨・関節痛を伴う場合はきちんと一度小児科に受診し評価してもらいましょう。理由のわからない身体の不調は不安をあおり、心と体の悪循環をつくってしまうことがあるため注意が必要です。

この年齢の発熱は、頭頚部の炎症性疾患が多いです。咽頭炎、扁桃炎、中耳炎、副鼻腔炎、リンパ節炎、虫歯などです。炎症の中には、感染性炎症とアレルギー性炎症、女の子では月経周期との関連があることも知っておきましょう。

② 頭痛

この年齢の頭痛は、睡眠障害、受験勉強のストレス、SNS-インターネット・オンライン授業・ゲームの影響で眼性頭痛や緊張性頭痛、片頭痛の要素を併せ持つ、混合性頭痛を呈するお子さんが多い印象です。

誘因となる食物や月経周期との関連、好発する時間帯・生活状況の再確認が必要です。
水分摂取・睡眠時間・適度な運動をしているかなど、生活習慣の見直しをしてみましょう。

特に、スマートフォンを所持している場合は、その管理方法を家族ときめておく必要があります。親子だけで解決できない場合は、小児科でスマートフォン管理の提案や自己健康管理の動機付けを行うようにしています。

頭痛の中には、画像診断や脳波検査、耳鼻科的精密検査が必要な疾患も隠れています。
生活に支障がでる頭痛(寝れない、起きれない、食べれない、運動できない)や、頭痛以外の症状(嘔気、めまい、ふらつき、視力・聴力障害、耳鳴りなど)がある場合は、我慢せず受診する必要があります。

③ 身長の増加と二次性徴

女の子>男の子ともに身長の増加(成長スパート)がおきた後に、二次性徴がみられる時期です。
男の子では、精巣・陰茎・陰嚢の発育-陰毛の発生-腋毛・ひげの発生・声変わりがみられます。
女の子では、男の子より1~2年早く二次性徴を認めます。乳房の発育-陰毛発生・外陰部成熟-初経がみられます。

このように、「体の変化」が大きく必要な栄養素やその摂取必要量が増加します。養育者の方々も子育てや仕事に忙しいとは思いますが、子どもたちが「体の変化を自覚しやすい」時期のため、家族みんなで栄養について考えてみてはいかがでしょうか。

微量元素(鉄や亜鉛)、ビタミン、タンパク質は大切な栄養素です。アスリートをめざす子どもたちの不振や不登校や体調不良が持続する子どもたちの栄養評価や栄養指導をせがわクリニックとともに行っていきます。

④ 長引く咳

口や鼻に起因する上気道、気管支や肺に起因する下気道、その他、原因が頭部や腹部、気道に接する気道以外の臓器に異常がないか部位別チェックをする必要があります。また、感染性と非感染性(アレルギーや心因性、チックなど)なのか原因別チェックも必要です。

感冒に伴う咳は通常、適切な投薬の有無に関わらず、概ね1週間程度で改善し生活への支障はあまりないはずです。本人や周囲からみて何かいつもと違う、長引く場合は一度、部位と原因について評価が必要です。

予防、投薬管理ができる疾患、咳チックの場合は家族の協力がまだ必要な年齢です。
そしてペットは大切な家族です。生活環境と予防方法は家族みんなで話し合いながら、方針を決めていきます。

⑤ 鼻炎、鼻閉、花粉症

野外活動・行動範囲の増加によって慢性的にアレルゲンに暴露されます。家庭内や室内に多い、通年性アレルギー性鼻炎だけでなく、季節毎に増悪を反復する季節性アレルギー鼻炎のお子さんも増加してきます。

食物アレルギーや気管支喘息、アトピー性皮膚炎からのアレルギー(移行)マーチングに伴うこともあり、気道以外のアレルギー症状のコントロールも発症の抑制には非常に大切です。

原因となるアレルゲンを知り、暴露を予防する工夫や、暴露後の除去や投薬による発症予防も重要な対策です。
また、本人の生活環境やアレルギー臓器の状態を評価し、舌下免疫療法も小児耳鼻科と連携して行っています。

⑥ 皮膚のかゆみ、湿疹

アレルギー、乾燥、感染、ストレス、外部刺激(接触性)などが原因として挙げられます。
皮膚単独の病気のこともあれば、全身疾患にともなう皮膚症状の場合もあります。

問診と、皮膚以外の症状や所見も大切にしています。発症の時期はいつなのか、原因として思い当たるエピソードや環境変化はないか、食事内容や発熱・下痢などの感染症歴を整理しておくことも大切です。

⑦ 不登校

睡眠状況、適度なスポーツ、スマートフォン、栄養評価が心理・身体的評価と同じくらい大切だと思っています。子どもたちは、見た目や成績、親や友達の視線を敏感に感じる時期です。SOSを素直に発信することができる子、SOSを発信できずためこむ子、困っていることが整理できていない子がいることを知っておく必要があります。

不登校になる原因をはじめから理解することはとても困難で、まずは本人>>家族の気持ちと症状、家族内関係、学校との関係、友達関係について、どのように感じて、何が困っているのかをきいていきます。
なぜ不登校になっているかは、説明できなくていいと思っています。

身体的症状を伴い、不安や苦痛を増強する可能性がある場合は、精密検査を行い対症・支持療法を行います。
睡眠の確保、スポーツの提案、栄養指導、スマートフォン管理、発達や学習状況・学習意欲の評価、家族と本人がセルフコントールができるよう支援していきます。

登校刺激のタイミングと家族介入については、各々考えていく必要があります。
訪問看護ステーションや児童精神科の介入が必要な場合は適宜連携してサポートしていきます。

⑧ 失神・めまい・立ちくらみ

原因は、心臓の病気(機能やリズム障害)、てんかん、起立性調節障害、内耳・前庭(耳関係)の炎症、小脳・頭頚部の炎症や腫瘍、低血糖や貧血、内分泌や眼科疾患など多岐にわたります。
起立性調節障害に関連することが多い年齢ですが、一度早めに詳細な問診、診察、検査を行う必要があります。

⑨ 胸痛

原因の多くは筋骨格性胸痛、心因性胸痛が多く、気管支喘息、肺炎、起立性調節障害のこともあります。
成人とは違い内臓の重大な疾患は少ないとされていますが、検査による除外は必要です。心血管・呼吸器・消化器、皮膚軟部組織・血液の炎症性疾患が隠れていないか一度受診が必要です。

⑩ 腹痛

この年齢では、便秘やガスの貯留による機能性腹痛、急性胃腸炎、急性虫垂炎、過敏性腸症候群、起立性調節障害にともなうことが多いことを知っておきましょう。顔色が悪い、発熱がある、痛みで歩けない、水分や食事がとれない、血便をともなうときは早めの受診が必要です。

また、心不全、アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)、腸重積、肝臓胆嚢膵臓異常、尿路・精巣異常のお子さんもいるため全身の評価を行うようにしています。

一般小児科診療をご希望の方

インターネット
順番受付