小児疾患集
学童期 9~10歳
友達やグループの認識ができてきて、
休み時間の過ごし方がかわってきます。
社会性の発達、表現力が充実してきます。
自分からすすんで動く、能動的思考もできるようになります。身体も心も「1/2成人」で、「性」についても意識しはじめるため、親子で共通の認識・知識が必要です。(^▽^)/
① 発熱
この年齢になると、しっかり感染予防対策を行うことができるようになりますが、密集、接触は運動や授業、塾ではさけられません。周囲(家族内と学校内)の敵(流行している感染症)を知っておく必要があります。
また、自分の中身・特性(鼻閉、口呼吸の状態、慢性アレルギー性疾患の有無、肺や心臓血管系の基礎疾患の有無など)を理解する必要がある時期でもあります。溶連菌感染、インフルエンザウイルス感染、マイコプラズマ感染は比較的おみかけする機会が多い感染症です。どんな症状がでて、どのように感染してしまうのか、どのような続発症や合併症があるのか、家族みんなで学習してみるのもひとつの感染予防対策と思っています。
また、単純ヘルペスウイルス感染による発熱持続、EBウイルス感染にともなう発熱持続、リンパ節腫脹も時々おみかけする感染症です。確定診断には迅速抗原検査や血液検査を行い、各々の疾患の特異的治療と支持療法、家庭でのケア、学校生活での注意点などをお話しするようにしています。
② 頭痛
最近では、SNS-インターネット・オンライン授業・ゲームの影響で眼性頭痛や緊張性頭痛、片頭痛の要素と混合する混合性頭痛を呈するお子さんが多い印象です。
また、薬剤誘発性の頭痛や起立性調節障害のお子さんもいます。
この年齢では、頭頚部の炎症性病気が誘発することが多いです。咽頭炎、扁桃炎、中耳炎、副鼻腔炎、リンパ節炎、虫歯などです。炎症の中には、感染性炎症とアレルギー性炎症があることも知っておきましょう。
また、頭痛の中には、画像診断や脳波検査、耳鼻科的精密検査が必要な疾患も隠れています。
生活に支障がでる頭痛(寝れない、起きれない、食べれない、運動できない)や、頭痛以外の症状(嘔気、めまい、ふらつき、視力・聴力障害、耳鳴りなど)がある場合は、我慢せず受診する必要があります。
③ 身長の増加
女の子>男の子ともに身長の増加(成長スパート)がおきてくる頃です。
「低身長」で相談受診されるお子さんはいますが、成長率の増加は受診動機になりにくい身体的変化です。
今までより急激に身長が伸びてきたり、成長率(何センチ/年)が平均より大きくうわまっている場合は一度相談してみましょう。場合によっては血液検査や頭部、性腺の画像検査が必要です。悪性疾患から良性疾患まで実は隠れているかもしれません。また、予想より二次性徴が早い場合も同様です。
④ 胸痛
身体的発達が促進されるこの時期に、運動強度・複雑さも増してくるため、骨軟部組織(筋肉や骨格、靭帯など)に起因する胸痛が多く認められます。特徴は比較的圧痛点が明瞭で数秒から長くても数分の胸部正中から左側に好発する、「イタタタタッと」なる感じです。多くは、詳細な問診と診察、レントゲン、心電図で怖い病気は否定できます。
ストレッチや左右を均等に使えるようになる運動の工夫、姿勢や負荷の偏りがないかチェックします。息苦しさや、就寝時も持続する痛み、その他嘔気や発熱、動悸をともなう痛みは内臓に起因している可能性があります。「胸部」は頭部、頸部、腹部ともに密接に関係しているため、「胸痛」で本人や家族が不安がある場合は受診するようお話しています。
⑤ 咳嗽
口や鼻に起因する上気道、気管支や肺に起因する下気道、その他、原因が頭部や腹部、気道に接する気道以外の臓器に異常がないか部位別チェックをする必要があります。また、感染性と非感染性(アレルギーや心因性、チックなど)なのか原因別チェックも必要です。
感冒に伴う咳は通常、適切な投薬の有無に関わらず、概ね1週間程度で改善し生活への支障はあまりないはずです。本人や周囲からみて何かいつもと違う、長引く場合は一度、部位と原因について評価が必要です。
⑥ 鼻炎、鼻閉、花粉症
野外活動・行動範囲の増加によって慢性的にアレルゲンに暴露されます。家庭内や室内に多い、通年性アレルギー性鼻炎だけでなく、季節毎に増悪を反復するの季節性アレルギー鼻炎のお子さんも増加してきます。
食物アレルギーや気管支喘息、アトピー性皮膚炎からのアレルギー(移行)マーチングに伴うこともあり、気道以外のアレルギー症状のコントロールも発症の抑制には非常に大切です。原因となるアレルゲンを知り、暴露を予防する工夫や、暴露後の除去や投薬による発症予防も重要な対策です。
また、本人の生活環境やアレルギー臓器の状態を評価し、舌下免疫療法も小児耳鼻科と連携して行っています。
⑦ 皮膚のかゆみ、湿疹
アレルギー、乾燥、感染、ストレス、外部刺激(接触性)などが原因として挙げられます。
皮膚単独の病気のこともあれば、全身疾患にともなう皮膚症状の場合もあります。
問診と、皮膚以外の症状や所見も大切にしています。発症の時期はいつなのか、原因として思い当たるエピソードや環境変化はないか、食事内容や発熱・下痢などの感染症歴を整理しておくことも大切です。
⑧ 不登校
社会生活、グループ生活ができるようになり、男の子、女の子の性的意識も少しでてきます。
不登校になる原因をはじめから理解することはとても困難です。本人>>家族の気持ちと症状、家族内関係、学校との関係、友達関係について、どのように感じて、何が困っているのかをきいていきます。
身体的症状を伴い、不安や苦痛を増強する可能性がある場合は、精密検査を行い対症・支持療法を行います。発達や学習状況・学習意欲の評価、家族と本人がセルフコントールができるよう支援していきます。
登校刺激のタイミングと家族介入については、各々考えていく必要があります。
⑨ 夜尿
5歳以降も継続的に夜尿を呈しているお子さんが多いです。夜尿頻度が徐々に減少している場合は、夜間の水分摂取制限や、排尿トレーニング、原因となる食品回避や便秘のコントロールを継続していくことが大切です。
夜尿克服まであと少しです!自尊心を損なわないよう家族の協力が大切です。
膀胱容量、腎臓の濃縮力だけでなく、アレルギーやストレスも増悪因子となります。
新規に夜尿が出現した場合や再発した場合、昼間に漏らしてしまう「遺尿」の場合は、原因検索が必要です。
宿泊研修などの時は、個別に対策をとるようにしています。
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